【2019年埼玉県知事選挙】市民活動に関する公開質問状

さいたまNPOセンターは、2019年埼玉県知事選挙について、立候補予定者に市民活動に関する公開質問状を提出しました。以下に、質問および回答を発表します。

なお、現時点で回答が無い候補者についても、回答が届き次第公開します。

2019年8月7日:大野元裕候補、青島健太候補(回答到着順)から回答がありました。
※2019年8月10日現在:武田信弘候補から回答がありました。

質問状の全文はこちらです (PDFファイル)

各質問に最大200字程度で答えていただくようお願いしています。

Q1. NPO・市民活動団体の役割について

公益的事業、公共的サービスを実施するうえで、行政と比較してNPO・市民活動団体が得意なことは何だと思いますか。
また、行政よりもNPO・市民活動団体が対応したほうが良い社会的課題があるとすればどのようなものか、あなたのお考えを聞かせてください。

Q1に対する各候補者の回答(回答到着順)

大野元裕氏

社会的課題の把握、発見はNPO・市民活動団体の方が速やかなケースが多いと考えます。対象者が少数に限られている場合や社会的課題が複層的で多様になっている場合、ステークホルダーと密接に連携できるNPO・市民活動団体が有機的に動けると考えます。

青島健太氏

 NPO・市民活動団体は地域で生じている課題を敏感に発見・把握する力や、課題の解決に向けて、制度の枠を超えて柔軟かつ機動的に行動できる点が優れていると思います。
 例えば、目に見えにくい子供の貧困問題は、NPO・市民活動団体が子供食堂などを通じて画一的でなくそれぞれの個性を持って対応しており大変有意義であると思っております。

武田信弘

 行政よりもNPO・市民活動団体の方が、より地域密着した活動がしやすいため、その地域独特の課題がある場合とか、人間的な細かい配慮が必要なことについては、行政が直接取り組むよりも、その地域にあるNPO・市民活動団体にお願いすることがより良いのではと思います。認知症の方に対する見守り活動とか、です。

Q2. NPO・市民活動団体との協働について

 埼玉県が職員向けマニュアルとして作成した「よくわかる!NPOとの協働マニュアル」に記載されている以下の協働の定義と位置づけを踏まえたうえで、以下の質問についてあなたのお考えを聞かせてください。

「社会的な課題に対し、NPOと県が意見交換や情報交換を重ねることにより、お互いのミッションを理解し、共通目的の確認を行う。その上で、NPOと県が県民サービスの内容をより豊かに、効果的なものとするため、お互いの立場、特性を認め役割分担をし、課題解決に向けた具体的な取組を行っていく。

このNPOと県との一連の対等な協力関係をNPOと県との協働と定義します。」

「よくわかる!NPOとの協働マニュアル」より)

以上のように定義したうえで、マニュアルでは、協働を多様化、複雑化する社会的課題や県民ニーズに効果的かつ的確に対応していくための有効な手段と位置付けています。

Q2-A

県とNPO・市民活動団体との協働がますます盛んになっていくために行うべきことは何だと思いますか。
また、県内の市町村とNPO・市民活動団体との協働がますます盛んになっていくために県が行うべきことは何だと思いますか。

Q2-Aに対する各候補者の回答 (回答到着順)

大野元裕氏

県の持つ様々な情報の公開、そして、定期的な意見交換の場を持つことが、協働をさらにすすめるために大切だと考えます。県とNPO・市民団体との協働の成功事例を市町村へと展開していくことが必要ではないでしょうか。もちろん、市町村から県へと提言をいただくことも大切だと考えます。更に、自治体によるNPOとの連携により横断的な問題に対処する体制をつくることが肝要です。

青島健太氏

 常日頃から県とNPO・市民活動団体との忌憚ない意見交換が必要だと思います。
 また、県は、市町村とNPO・市民活動団体との協働を促進するため、県内の協働に係る好事例を様々な媒体を通じて広く情報発信するべきだと思います。

武田信弘

 まず行政側が地域の課題というか、問題点の把握に努めること。そのためには、NPO・市民活動団体が形成される以前の状態で、行政側に地域のニーズを吸い上げる体制が出来ていないといけない。また、行政側の行政一般に関する情報開示が何よりも重要。どのようなことにどの程度の予算をかけているかの情報開示であり、それを一般市民の方たちにチェックして頂くための体制整備が必要。逆から言えば、NPO・市民活動団体には行政のチェックが出来るだけの熱意と知識が必要になると思います。

Q2-B

行政とNPO・市民活動団体との協働において、たとえば、NPO・市民活動団体が協働の事業に意欲があっても労力や経費について大きな負担になることで、NPO・市民活動団体が行政との協働に二の足を踏む場合があるという報告が散見されます。県、あるいは県内の市町村とNPO・市民活動団体との協働を盛んにしていくためには、協働の目的が実現でき、NPO・市民活動団体の運営が円滑におこなわれる資源が必要です。

県民にとって効果的な協働をおこなうには、県はどのような施策を行うべきだと思いますか。

Q2-Bに対する各候補者の回答 (回答到着順)

大野元裕氏

協働事業の事業費の支払いについて、前払いや支払い間隔を短くするなどのきめ細かな対応が必要だと考えます。しかし、事業費補助以外の、例えば既存団体への団体運営費補助などは、他団体との公平性を保つ必要があり、丁寧に対応したいと考えます。

青島健太氏

 県とNPO・市民活動団体は対等の関係でなければならないと思います。上下主従関係のような関係になってはいけません。しかし、NPO・市民活動団体のすべての団体の基盤が整備されているわけではありませんので、当然、県としての支援が欠かせないものと思います。
 先進的・先駆的な取組にチャレンジする団体に対して、その取組の一部を助成する財政支援等が必要なのではないかと思います。

武田信弘氏

 既に行われているのかも知れませんが、協働の「指針」作りが必要だと思います。「指針」とは、「ある活動がその地域に必要なものであり、しかも、NPO・市民活動団体が行う方が行政が直接取り組むよりもよいと、何を持って判断するかの基準」です。現実の課題は多様であり、指針作り自体がかなり難しい面があるでしょう。しかし、河川の堤防整備のような大規模で多額の予算が必要な場合でも、市民参加は必要です。

Q2-C

よくわかる!NPOとの協働マニュアル」では、NPOと県との協働事業についての調査結果を踏まえたうえで、『事業における「企画段階からの協働」はNPO、県いずれにとっても協働を行う上での課題になっています』と結論づけています。特に、NPO・市民活動団体側から見た場合、企画段階にてNPO・市民活動団体が関わっていないために、現場のニーズにマッチしないような仕様書が行政から出される場合があるという報告が散見されます。これは、県との協働だけではなく、市町村とNPO・市民活動団体との協働においても同様です。

企画段階からの協働を盛んにしていくためにはどうすればよいと思いますか。

Q2-Cに対する各候補者の回答 (回答到着順)

大野元裕氏

NPO・市民活動団体との協働の場合だけ、現場のニーズとマッチしない、ということはないと考えます。そうした報告が散見される、ということですが、大変、憂慮すべき課題です。県庁職員はしっかりと現場のニーズを把握する必要がありますし、私自身も積極的に現場へ足を運び、直接、県民との対話を行いたいと考えています。
 そのうえで、Q2-Aでもお答えしましたが、県の持つ情報を公開していく、あるいは、連絡を密とすることで、NPO・市民活動団体を始め、様々な法人・団体との協働を進めていきたいと考えます。

青島健太氏

 行政の意識改革が必要だと思います。行政サイドには、事業の企画は行政が行い、実施に当たってはNPO・市民活動団体の協力も必要と考えているケースがあります。
 行政とNPO・市民活動団体は対等の関係であり、事業の企画段階から意見交換、情報交換を密にしていくことが必要だと思います。

武田信弘氏

 オンブズマンも行政に対する市民参加制度ですが、すべての予算編成・予算執行の段階で、何を目的にいつ何を行うことを予定しているかを市民に公表する必要があると思います。また、分野により、年に数か月ごとに、既にあるNPOなどと行政側が顔を合わせて、全般的な情報交換をすることなどが考えられると思います。まずは、全面的な情報公開をする条例の策定が必要です。

Q3. 政策づくりについて

あなたが県知事に当選した場合、NPO・市民活動団体の様々な活動を活かすための政策づくりを県内のNPO・市民活動団体と共に行う意思はありますか。その理由も含めてあなたのお考えを聞かせてください。

Q3に対する各候補者の回答 (回答到着順)

大野元裕氏

政策づくりのみならず、施策を前に進めていくためのPDCAサイクルのなかで多くの県民の参画をいただきたいと考えております。

青島健太氏

 県民ニーズは多様化、複雑化しています。行政では速やかに対応ができない課題でも、NPO・市民活動団体はその強みを生かし、県民ニーズにきめ細かに対応している例がたくさんあります。  私は、こうした力を県政に積極的に活用させていただきたいと考えています。

武田信弘氏

 意思はあります。地域社会の課題解決は、行政と地域が一体となって取り組みことが、もともと本来の姿であるからです。ただし、現状は、行政側も、またある程度NPO・市民活動団体も、費用についてかなり甘い見通しを持たれているように感じています。
 自分は、首都圏地震が数年のうちには発生し、国や地方のレベルで財政破たんが近いと考えています。そのため、円の暴落を受けない地域通貨の創出が必要だと思います。